新4K8K衛星放送のアンテナを既存のケーブルに接続すると、ケーブルから電波漏洩して電波障害の原因になることをご存じでしたか。
電波法でも「左旋偏波を受信する受信設備の漏洩基準」が定められ、基準に適合していない受信設備は電波法違反になります。
この記事では新4K8K放送を受信するアンテナケーブル等から電波漏洩させない方法について説明します。ぜひ、最後までご覧ください。
新4K放送のアンテナを既存のケーブルに繋ぐと通信障害に?
画像引用:総務省「中間周波数の漏洩-新4K8K衛星放送開始に向けたBS・110度CSの左旋偏波の中間周波数の漏洩について-」
新4K8K衛星放送のアンテナを既存のケーブルに接続すると、無線LANや携帯電話の通信速度低下などの通信不良を起こす恐れがあります。そのため、総務省は「左旋偏波を受信する受信設備の漏洩基準」を定めました。基準に適合しない受信設備は電波法違反になります。
なぜ、新4K8K放送のアンテナを既存のケーブルに接続すると、無線LANや携帯電話の通信障害になるかというと、大きく二つの理由があるのです。
- 新4K8K放送衛星放送は、12GHzで衛星から送信され、アンテナで受信されます。このうち左旋(左旋円偏波)の電波は屋内のアンテナケーブルに向けて、2.2~3.2GHzの電波に変換されます。この周波数帯を無線LANや携帯電話と共用しているので、影響を与えやすい
- 既存のケーブルは2.2~3.2GHzの電波を遮蔽するシールド性能が十分でなく、施工の状況によっても電波が漏洩しやすい
新4K放送のアンテナケーブルからの電波漏洩を防ぐには
画像引用:JEITA「SHマーク/DHマーク/HSマーク」
それでは新4K8K衛星放送を受信する場合、アンテナケーブルからの電波漏洩を防ぐにはどうしたらよいのでしょうか?
SHマークのついているケーブル等を使う
新4K8K衛星放送に使用する機器はすべて、SHマークのついたものにする必要があります。SHマーク(スーパーハイビジョン受信マーク)は、BS・110度CS右左旋放送受信帯域に対応した機器のうち、一般社団法人電子情報技術協会(JEITA)で審査・登録されたものに与えられるマークです。
このSHマークは、一定以上の性能を有する機器であることを証明するシンボルマークで、次の機器が対象になります。
- BS・110度CS右左旋偏波受信アンテナ
- ブースター
- 分配器
- 壁面端子
- 混合器・分配器
- 直列ユニット
アンテナケーブルの施工方法
アンテナケーブルの施工方法でも対策が変わってきます。
4K放送のアンテナケーブルを単独配線にする
新4K8K衛星放送アンテナと4Kテレビの間の配線を、従来のアンテナケーブルとは別に単独で設置する場合は、この単独の配線に関連する機器のみSHマークの機器にすれば電波漏洩を防げます。
混合分配配線にする場合は
従来のアンテナケーブルに混合器で新4K8K衛星放送アンテナを接続する場合は、ブースター・分配器・壁面テレビ端子・分波器等をすべてSHマークのものに取り替える必要があります。
4K放送をケーブルから漏洩させないためには施工も大切
新4K8K衛星放送を受信するのであれば、SHマークのついた機器を使うことが大前提になります。しかし、SHマークと同じようにアンテナ工事も重要です。
事前調査
アンテナケーブルの工事に先立って行う事前調査も重要。事前調査は現在使用されている機器を把握し、そのまま使用できる機器と交換が必要な機器に選別するためです。また、既存の同軸ケーブルの接続状態が悪いと、電波が漏洩する場所になるため、家中くまなく調査が必要です。
施工のポイント
施工のポイントは、まずSHマークのついた機器を使用することです。そして、同軸ケーブルを分配器などに接続する場合、コネクタに緩みが生じないようにしっかりと締め付けます。その他同軸ケーブルに無理な力がかからないことや、分配器などの空き端子に確実に終端抵抗を取り付けることがポイントです。
新4K8K放送のアンテナ施工は専門業者にお任せください
ここまで、新4K8K放送のアンテナから電波漏洩し、無線LANや携帯電話の通信障害になることをお伝えしました。また、総務省も基準を見直し、基準に満たない受信設備は電波法違反になることを説明しました。
そして、電波漏洩を防ぐにはSHマークのついた機器を使用すること、アンテナケーブルの工事には単独配線と混合配線があることを紹介。また、SHマークだけでなく、アンテナ工事の施工についても触れました。
とくに新4K8K衛星放送アンテナを混合配線にして家中で観る場合は、事前に家の中のアンテナケーブルと付属機器の状態を確認する必要があります。
また、施工の際もコネクタの緩みや室内の同軸ケーブルをシールド性能の高いものに交換するなど、専門性の高い工事です。このような工事は、なかなか素人ではできませんので、アンテナ工事の専門業者に任せることをおすすめします。